「さよならYuka」カンテ
2014.09.03

日本人カンタオーラの今枝友加さんが、
今回足掛け数年過ごしたへレスでの生活にピリオド打ち、
日本へ帰国するということで、
現地へレスのタバンコ(シェリー酒の樽が並ぶへレス特有のバル)にて、
「さよならYuka」カンテがあるということで行ってきました。
歌うのはもちろんご本人今枝さん。
へレス滞在中に何度もこのタバンコ「パサヘ」で歌ってきた彼女のカンテを、
実は私は今まで一度も聴いたことありませんでした。
なので、このへレス生活でどのように彼女のカンテが進化したのか
私には比較できませんが、
彼女の歌を聴きながら、
ゾクっとするような澄んだフラメンコの声を聴きました。
フラメンコの澄んだというのは、我慢、悔しさ、努力、踏ん張り、絶望感、
ーetc、、、が混じって、それをろ過してポジティブに変換させて、
勢いよく穴からスーッと吹き出したような、
透明のようで、純透明でなく、フラメンコ色した、、、、
シルクのようで針金のような強さがあり、、、
というような。
目の前の美しく透き通った、グラスに入ったへレスの酒がすごくお似合いの
彼女のカンテでした。
今まで、日本で生まれ育っている日本人が、
ここまでスペイン人と同等に歌うのは不可能だと私は信じていたのですが、
彼女は歌ってくれました。
「えーっ、嘘でしょ~?!」と思って、
あえて目を彼女から背けて脇を向いて聴いてみたりしましたが、
そうすると文字では表現できない一本のフラメンコ糸の声が聞こえてきて、
ゾクとさせられました。その古典風な声質が特に好き!!!!!と思いました。
そしてまだまだ進化し続けそうなので、
しかも進化というか、この、古典的な本物思考のカンテは、
進化と言っても、タイムマシーンでフラメンコの古き良き時代のカンテの再現のような、
なぜか後ろ向きに突き進むという新しい進化のしかたに違いないと思ったのでした。
観客も地元人。
彼女もゴム草履で現れ、グレーのスペイン製のヒールに履き替え、
一緒に来た我が子にゲームを渡してステージで歌い始め、
ステージが終わるとその場で子供たち相手に「かくれんぼ」開始。
同時に周りの人たちとサヨナラの挨拶。
天才なのかもしれませんが、
想像しきれない努力があるはずです。
携帯電話と一緒に常に抱えて離さずにいる、あのノートが気になります。
また日本に戻ってからのご活躍を期待します!
日本のフラメンコに大きく貢献することになるのだろうと思われます。